流通ジャーナリスト 購買促進コンサルタント金子哲雄がお届けする売場直送レポート


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「価格競争の激化は、消費意欲を低迷させるリスクもある」

d0015277_10414030.jpg今、大手スーパーマーケット(以下大手SM)では”底なし”の値下げ戦争が勃発しています。サブプライムショック以降、消費者の消費意欲の減退から、大手SMでは来店頻度が低下。売上を大幅に落としています。そこで、安さをアピールすることでお店に来るきっかけを創り、来店頻度を向上させたいと考え、3月の決算期を前に低価格化を打ち出しました。記者会見の席で、大手SMでは大量発注、大量仕入による調達コストの削減等により、低価格化を実現した。つまり低価格化実現のために、経営努力を重ねた結果だと力説しています。もちろん、その努力は評価すべきものですが、実際に売場で価格をチェックすると値下げ率の大きさに”複雑な思い”になりました。消費者として値下げはうれしいことなのですが。今まで248円で販売されていたパスタがいきなり、50円値下げの198円になっているんですよ。一般に価格競争の激しい流通業界では10円値下げのためにも、生産、物流過程の無駄をぎりぎりまで省くのですが、一気に50円も値下がりしたとなると、何か危ういことが起こっているのではと疑いたくなります。つまり大手SMの値下げの影で”泣いている人”がいるのではないかと。大手メーカでさえも、大手SMの売場を確保しなければ経営は成り立ちません。したがって大手SMからの「お願い」は飲まざるえないケースが目立ちます。今回の値下げにより、大手SMと取引するメーカや運送会社で働く人は自らの給与や労働時間を延ばすなど相当な負担を強いられていると推定されます。今後、食品やトラック事故の増加を招く危険性は否定できません。私たちは消費者であり、一方で労働者でもあるわけです。過度な値下げにより、そのしわよせが、自分たちの賃金低下につながってしまうと、かえって消費意欲を低迷させてしまいます。安さと賃金の安定、バランスが重要ですね。
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by koto-style | 2009-03-23 10:42 | スーパーマーケット